日本学術会議からの推薦に対する首相の拒否について

今日(2020年10月3日)、朝日の一面を飾っており、Twitterでも先生方がそれはもうえらい勢いでつぶやいておられるので、曲がりなりにも学問に関わる人間として、二言三言言及しておく。

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 ざっくりとした事件の概要としては、これまで日本学術会議の人選について、法律上は会議が推薦し首相が任命するという形になっていたところ、少なくとも現在の会員の選び方になって以来初めて、名簿に書かれた一部の候補者が首相の側から拒否された。そのため、首相による学問の自由に対する侵害だということで、大きな議論になっている。

 首相は、拒否は法律上問題ないものというスタンスである一方、朝日の記事によれば1983年の政府答弁で、原則的に推薦を拒否しないという旨を述べており、法律に対する政府解釈の変更なのかといった面から野党などから追及がなされている。

 内閣法制局は、内閣府から拒否が法律上問題ないかどうか、2018年と今年の9月に相談を受けており、これに問題ないと答えていることが分かっている。Twitterでは、前々から準備を進めており、菅首相は単に仕上げをしただけではというつぶやきもあり、竿ありなんという感じである。 一方、学者の足の引っ張り合いの中で、菅首相に何かしらささやいた人が居るのではという予想もTwitterでは飛び交っている。

 いずれにせよ、今年の春先の検事長定年延長問題と同じように、憲法や国家の基本システムあたりの主要論点に差し障りそうな問題を、法律のグレーっぽい運用でごり押ししながら、人事で相手をコントロールしていくというのは、安倍政権からの傾向であるように思う。

 しかし、2日の宇野重規先生のコメントにそのまま賛同するのだが、自分を批判する人を排除していくような姿勢というのは、自由民主主義を掲げる国家のリーダーとしては相応しくない。

 まぁ、雑魚院生なので特に心配することもないとは思うが、もし時の政権から拒否されるようなことがあっても、毅然と対応する心の準備はしておき、自分の周りだけでも自由に批判できるような空間を作れるよう努力していきたいと思う。